京都 四条烏丸の歯科医院 RIMO dental clinicの院長 小川智功です。
僕が日頃歯磨きに対して、どのような認識を持っていて実践しているかを書いてみたいと思います。
0. はじめに
1. 歯ブラシの選択について
2. 歯磨き粉の選択について
3. 僕個人の歯磨きについて
4. おわりに
以上の構成に基づいて、お話します。
0.はじめに
僕は論文などで報告されている事と自身の体験や臨床から感じる事を合わせて、歯磨きを実践しています。唾液の質や歯並び、顎や歯の大きさなどの個体差は当然ありますので、僕自身の考え方や方法を強要するつもりはございません。
ご自身のやり方や考え方が一番な上で参考にして下さって、健康的なステイホームを実践頂けると幸甚です。
基本的な考え方
① むし歯菌、歯周病菌は、唾液の自浄作用が少なくなり、口腔内が乾燥する就寝時に繁殖する。
② 食渣(食べかす)は食後48時間かけて発酵し、その後毒性を発揮したり、酸により歯質を溶解したりする。
③ むし歯の好発部位は小窩裂孔(歯の溝)、歯間隣接部(歯と歯の間)、歯肉と歯の境目である。
他にも色々ありますが、歯磨きをする上でシンプルにこの3つだけ頭に入れておけば良いと考えます。
僕は小さい頃「毎食後すぐに3分間歯磨きをすれば良い」と習いました。これは乳歯列で実践を試みる話で、小学4〜5年生までは十分です。中学生以降の永久歯列では『毎食後すぐに』と言うのが実践が難しくなり、永久歯列をきちんと磨こうとしたら3分間では不十分だと感じます。
朝、昼、夜の中でどの場合においても長時間歯を磨く必要はありません。①の考え方から、夜の就寝前だけは時間をかけてしっかりと歯磨きを行う事が肝要です。口の中は唾液の自浄作用により、食渣は洗い流される仕組みになっています。言わば、道路が常にホースで水まきされている状態です。ですが、そのホースの水まきが寝ているときには止まってしまうのです。唾液の流れが止まると、細菌は歯に定着しやすくなり、繁殖しやすくなります。ですので、極端に言うと、朝、昼をしっかり磨いても、夜歯磨きしないのであれば、全く不十分です。推奨はしませんが、夜にしっかり歯磨きをされるのであれば、朝、昼が疎かになったり、時間をかけることができなかったりしても口腔内の問題は多発しない可能性は高いです。
②の考え方から、食渣が発酵し毒性を発揮するまでの48時間の間に汚れを落としきれば、問題は起こりません。一回の歯磨きで食渣、プラークをきちんと落としきるのは難しいです。なので、セルフケアの回数は多い方が良いです。朝、昼は1分以内の短時間でも構いませんが、夜就寝前は最低10分は歯磨きに時間をかけた方が良いと考えます。ただし、時間よりも内容が重要です。
③の考え方から、むし歯になりやすい場所を重点的に磨くことが大切だと考えます。むし歯になりにくい部分は歯磨きしやすい場所であり、そこに時間をかけてもあまり意味がありません。歯磨きしにくい場所ほど、むし歯になりやすいです。
歯磨きでも未知のウイルスへの対応でもそうですが、長期的な対応が必要とされます。まずは文献による報告や統計のデータを正しく理解して、要所を抑えていくことが大切だと考えます。