京都 四条烏丸の歯科医院 RIMO dental clinicの院長 小川智功です。
前歯が取れたと患者さんがご来院されました。
今までに、取れてはつけて、を何度も繰り返しておられたそうです。見える範囲にはほとんど歯質が見えない状況でした。レントゲン写真を撮影したところ、ポストが折れており、周囲の歯肉も腫れているため、今の状況での再修復はかなり難しいことをお伝えしました。
当院にお越しになる前に、日曜日にやっておられる他院様に行かれたそうです。他院様では、『抜歯してブリッジかインプラントか』と言われたとのことでした。
私は「ブリッジが1番の悪手です。カリエスフリーの両隣在歯を切削する意味が全くないです。加えて歯列不正もあり、現時点で歯磨きしにくい上にブリッジを装着するとかなり清掃性が悪くなるため、余計に口腔内が悪化します。
インプラントは思っておられるほど早く歯は入りません。噛み合わせが深いので、埋入後即時負荷には適さない方です。抜歯即時埋入のようなアクロバットな施術を行った場合でも仮歯が入るまでに最短でも5ヶ月はかかるでしょう。
ただし。前医様は意地悪で言われた訳ではないと思います。〇〇さんが、すぐに結果を求められたり、通院をしたくないことが前提だったりするのであれば、私も「自分のことなのに。そんなにめんどくさいんだったら、抜いちゃえば?」って答えると思います。私は抜きたい訳でも削りたい訳でもないので、このままでいるか、抜いたり、削ったりしてくれる他の歯医者さんに行ってもらった方が良いかもしれません。
この歯のベストな治療法、そして〇〇さんにとって治療期間中も治療終了後も一番負担がかからない治療法は、『この歯を残すこと』です。ただし、固定式の仮歯を入れるまでに最短でも1ヶ月半、治療終了までにも2ヶ月はかかります。保険外の技術を使わないと治療を行うことはできませんが、私は、そんなに悪い治療法を勧めているとは思っていません。一番費用も治療期間も身体的負担がかからない治療法です。
インプラントでも歯無しの期間が最低5ヶ月かかる上に、費用もこの3倍はかかります。このことに同意頂けるのであれば、治療を行っていきます。」
とお伝えしました。
患者さんは、私の治療方針に同意頂いたので、頑張って通って頂くことを前提に、治療を進めていくことになりました。後半へ続きます。